欠損の流れ【17】

~シングルデンチャ-の段取り~

左右対称の馬蹄形の顎堤は吸着を期待できます。連続性が保たれ上顎結節にボリュ-ムがある場合は特にです。しかし対顎の残存歯の配置にもよりこれがなかなか望めません。

①前歯部がフラビ-状態のもの ②全身疾患により抜歯ができずに左右のバランスが悪くなったもの ③内外冠にしたため骨を引き連れて挺出し高さのちがうもの ④両方の上顎結節が消失したもの

これらはどう手を施しても上段のような顎堤にはなりません。では中段の状態ならまだ間に合のうでしょうか。いま正に右上6に対するジグリングにより結節周囲の組織がもっていかれようとしています。とは言ってもいきなり「顎堤を守りたいので最後の一本を抜歯したいのですが・・・」と提案すれば翌週から患者さんは来なくなるでしょう。超高齢社会ではシングルデンチャ-にすがる場面もふえると思われますが顎堤の温存にはそれなりの根回しも必要だと考えさせられました。