最後の一本となった歯に対する思いと高齢化③

『 先生、食べるものによって下の入れ歯が浮き上がってくるようになったんだけど・・・。』

粘膜との適合は特に注視してきたはず。顕著な顎堤の変化は見受けられなかったのですが…。15年間ほとんど問題なく経過してきた義歯の不具合は大病の治療の副作用(唾液の減少)が引き起こしたものでした。

口腔内が急に乾燥状態になったことはご自身がいちばん理解されており、犬歯が揺さぶられていることも感じていたそうです。せっかくまじめに定期検診を欠かさなかったのにと肩を落としましたが、下を向いているのは私だけでした。