よりそうって何だろう.3

「この人は先生の前だとしっかりするんです。家では全く磨かないし口の中もさわらせてくれないんですよ…」というような介護者の発言をうけるとその疲弊度と意思疎通レベルとのギャップにますます混迷します。

そんなとき地域包括支援センタ-のお手伝いをされている衛生士の方とお話する機会がありました。自分が日によって治療方針がぶれると同意をもとめると「そんなことよりも咬める義歯をいれてくださいね。いったん廃用になってしまうと、もう元にはもどれませんから・・・。」と逆にお願いをされてしまいました。ここ数ヶ月間、高齢者に対する役割が多岐におよぶ中で無力さばかりを感じていましたが、その一言で少し霧が晴れました。患者さんや介護者の思いによりそうことは難しくても、どのような口腔内の状況であれ、咬める(機能的)な義歯を与える努力はできます。超高齢社会を前に弱腰になっている自分に喝をいれてくれたのは、他でもない現場からのシンプルな要望でした。