最後の一本となった歯に対する思いと高齢化④

『他の歯にもこれだけ愛情をかけていれば、今頃全部の歯が残っていたかもしれない。もっと早く教えてくれてなきゃ・・・。』

長きにわたり咬合高径を保っていた犬歯の情報を失うわけにもいかないので、破折面にそのまま床を継ぎ足して使用してもらうことにしました。コンク-ルの乾燥ジェルも併用すると吸着力が増し、義歯の動きも幾分抑えられるそうです。しかしフラットな根面板はとにかくブラッシングがしにくいと訴えられたので、少しだけ丈のあるコ-ピングに変えました。残根となった現在でもまだまだ特別な存在であることに変わりはないようです。ただ揺さぶられると辺縁歯肉がすれて痛いということで、周りをくりぬいてそこだけポリグリップを入れてもらうことにしています。閉鎖的な空間となるうえに唾液による緩衝能も期待できないとなると先行き不安しかありませんが、冒頭のような発言を聞くと歯ノナイシアワセに許可がおりるのはまだまだ先だと感じています。